世界を視野に入れ情報発信する時代  プレインジャパニーズで意識改革を
TC協会でのISOプレインランゲージの講演

一般社団法人日本プレインランゲージ協会(JAPL) 代表理事(株式会社エイアンドピープル代表取締役)浅井満知子は、10月11日(金)に一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会(以下TC協会)シンポジウムで登壇しました。
演題は「プレインジャパニーズをつかう」と題し、研究者、テクニカルライター等、多数の専門家の方へ向けて講演をさせていただきました。

多様性の時代に包括的で公平な情報発信が求められています。情報の受け手に誤解のないよう明確に、迅速に理解してもらい、適切な判断が下され、行動へ促してもらうことで、発信者と受領者双方にメリットをもたらします。「プレインランゲージ」はそれを実現するツールです。これまで日本では「あうんの呼吸」「以心伝心」で通じ合えていましたが、多様なメンバー内では使えません。これまでの自分の考えや主張を持たない姿勢を改める必要があります。自分の考えや意思をもち、勇気をもって明確に伝えることが、多様性時代に求められるコミュニケーションであり、信頼構築の第一歩です。AIによる自動翻訳を使い、自国の母国語で誰もが必要な情報を知り、また発信できる公平なコミュニケーションが完成形に近づきつつあり、翻訳後の精度を高めることと思考のプロセスをそろえることで理解を促進されます。
国際標準化機構(ISO)は2023年6月にプレインランゲージ規格を発行しました。加盟50か国、日本語を含む27言語を、一つの理念のもと同じガイドラインに則りコミュニケーションすることで円滑な意思疎通をすることを推進しています。

講演では、プレインランゲージの日本語版である「プレインジャパニーズ」の歴史、定義のおさらいからプレインジャパニーズの事例、具体例をご紹介しました。プレインジャパニーズは公正、公平な説明責任を果たすためのツールです。グローバル企業は明確な表現を使い、世界中のユーザーが迷わないように製品やUIを設計しています。在日外資系企業は、ブランディング、人材教育、マーケティング・ESG戦略として、簡潔で明確なコミュニケーションをブランドの特徴としており、ステークホルダーとのあらゆるコミュニケションにプレインランゲージ、プレインジャパニーズを採用しています。東京都をはじめ、地方自治体では、市民との分かりやすい広報の実現に向けて、ISO規格となったプレインジャパニーズに注目し、導入を開始しています。日本人は、世界を視野に入れ、翻訳を前提とした明確な日本語を書くという意識改革が必要な時代に突入しているのです。

このような浅井の講演後、東京大学大学院教育学研究科 講師の宮田玲先生により、東京大学とJAPLが共同研究している「日本語診断ポータル」が実演されました。AIを使った文章が日本語診断ポータルによりどう診断されるかを見ることで、プレインランゲージの輪郭が明確になってきます。そこから見えてきた可能性や実用性についてお伝えしました。

【講演概要】
講演名:【ミニセッション】プレインジャパニーズをつかう
日時:2024年10月11日(金)10:00-11:00
場所:京都リサーチパーク
主催:一般財団法人テクニカルコミュニケーター協会
パネリスト:
宮田 玲 氏(東京大学大学院教育学研究科 図書館情報学研究室 講師)
浅井 満知子(一般社団法人日本プレインランゲージ協会(JAPL) 代表理事)